3階からダイブ編8

5人部屋の人々

長い二連休が終わり個室から大部屋に移動した。理由は、今まで職員の入院は個室で個室代を取らなかったので院長が個室を指名したのだが理事長がごねたため。そのために頼みもしない個室代を3日分も取られた。高級布団や壷などの押し売り詐欺に遭った気分だ!その後、何回も生活保護を申請*1するがすべって却下される。
個室に居たときに聞こえてきた神輿の声を聞きながら「これ担いで大騒ぎするはずだったな」と身動きできない体で思ったなぁ。
大部屋に移って良かったことは人がいる事それだけで安心する。大部屋は5人部屋で廊下の真正面がICHIZOUで、上半身を上げると真直ぐの廊下を突き当りまで見ることが出来た。つまり廊下から丸見えの位置。
隣のベットは人工肛門を着けているオジサン。意識があるが末期癌で重症。人工肛門から出る消化液でお腹に設置した穴が消化され、ただれてしまった痛みと全身を蝕んでいる末期の癌の痛みで昼夜問わずヒィーヒィー言っていた。夜は特に痛んだらしい。2日後に他の病院に移送されて行った。その後そのベットには全身アトピーが酷くショック症状を入院する。その人とは何週間かしたとき、ドラクエⅢのアイテムがある小島の場所が解らず看護婦とケンカをした時に隣りのベットで大笑いをされ教えてくれたのがきっかけで仲良しになった。
その隣りのベットはアルコール性慢性肝炎の人のいいオジサン。もう酒は呑まないと断言していたが退院後しばらくして呑んでいた。死の坂を転げ落ちていたのを見た気がした。
その足元のベットは尿管結石のお兄ちゃん生れつき首と肩が変形していた。何年か前も入院していたので顔見知り。その時からやくざやチンピラと交流があるお兄ちゃんで今回も院内でいざこざを起こし転院していった。その後そのベットに来たのは糖尿病の痩せた人のいいオジサン。1回退院後しばらくして、また入院してきた。酒を呑み血糖の数値を上げ倒れたのだ。手遅れだった。しばらく入院していたが死んでしまった。奥さんに「死んじゃった」と言われた時に「ねぇ」としか返せなかった事が悔しい!!
退院する1ヶ月前頃は部屋の人とワイワイしていた。言いようが無いつながりがあった。毎晩、寝る前に部屋の片隅に集まり喋ってから「オヤスミナサイ」と言って寝た。思い出がある。
 
つづく

*1:病院サイドで入院している患者を強制保護出来る。