ある呑み屋の一幕

 今日は個室と二人部屋の階の担当だった。まあ、そつなくこなす。

 仕事終了後ゴキブリの立ち呑み屋に一人で行ってみる。理由はサービス券が残っていたのと5日にゴキブリ駆除をしたから。サービス券がこれまた曲者である。買うのだが千円で五十円の金券が千百円分くる。そこから来た品物代だけ券が切られるのだが券が少なくなるとまた千百円分件を買うため気が付くと結構な金を使っている。ゴキブリはいなかったがゴキブリのイメージが思いのほか心に残っており、いまいち気分が乗らず、そしてなんだか不味い。

 呑んだ酒は、麦酒1杯・ゆずハイ1杯・レモンハイ2杯である。それに合わせて食べ物も頼んだ。
最初に各250円のレバ刺とガツ刺を食べる。250円としてはこんなものかなと感じる。
次はタンとカシラを二本ずつ食べる。ここの焼き物は炭火を使う。美味しく頂いた。

 向かい側で一人でで呑んでいた、くたびれた服のオヤジさんが声を上げた。「店長。ごめんもう一杯頂戴。店長は良い顔をしている。もてるだろう。俺も昔はもてたんだ。金がねぇ…金はあるんだ。年金!でも年金だけしかねえ。・・・」昔のもてた事と金が無い事でも年金がある事でもやはり貧乏な事をエンドレスにへべれけで語り始めた。しかし、店長はそこにからとっくに離れており他の客も誰一人、気にも留めていない様子。そこにオヤジさんがいないかのように時間が過ぎている。オヤジさんは周りを見渡しクルクルと回りながら同じ事をエンドレスに語り始めた。そのうち語りに変化がでた。タクシーに乗り金を落としたと言うのだ。それもタクシーに乗るときの足のステップと金を落とした時の残念な手の振りがふらつきながら付いている。エンドレスな語りと踊りがしばらく続いたがそのうち、昔拳法を習っていたと言い形を披露し始めた。見事な酔拳になっていた。
 立ち呑み屋ならではの一幕だと思った。


家に帰り、鰻丼に生卵をかけて食べた。